実際に派遣就労(派遣社員として働く)するには、様々なルールがあります。
また、知っておきたい知識やマナーなど、派遣就労のポイントをご紹介します。
派遣社員の契約期間
2015年に派遣法の改正があったため、複雑に思われがちな「派遣就労の契約期間」。働く上で知っておきたいポイントを簡単にまとめました。
派遣社員のうち、実際に契約期間の定めがあるのは、「登録型派遣」と「紹介予定派遣」の2つです。紹介予定派遣については、別項(派遣就労の種類、3・紹介予定派遣)の説明をご覧ください。この項では、「登録型派遣」の契約期間について解説します。
登録型派遣の契約期間の定め
登録型派遣では、同一の派遣先に最大3年間就業することが出来ます。(2018年1月現在)
いきなり半年や1年‥、という期間で契約するのではなく、「最初は1か月、その後3か月、6か月‥‥」と、徐々に契約期間を伸ばされるのが一般的です。特に、「3か月ごとの更新」を採用している企業が多いようです。
この「最大3年間」という期間にも例外があり、下記の条件に当てはまる方は、期間の制限を受けることなく就業することが出来ます。
期間制限の例外
- 終期が明確な有期プロジェクトに関する派遣業務の場合
- 60歳以上の派遣労働者の場合
- 産前産後休業、育児休業、介護休業などを取得する労働者の業務に派遣される場合
※参考:厚生労働省『平成27年労働者派遣法改正法の概要』
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf
「契約なので‥」の、落とし穴
派遣就労する上で困りがちなのが、「契約内容と就業先の環境で、板挟みになる。」事です。
「残業が出来ない」「専門的なスキルを活かした仕事がしたい」‥など、派遣社員であるメリットを重視して働き始めたはずが、契約内容外の業務を断るのに、余計なストレスがかかるという状況に陥ることも、少なく無いようです。
また、ストレートに断ってしまったために、悪印象を与えてしまう‥と言ったケースもあるようです。
働きやすい環境を保つためにも、気をつけたいのは「伝え方」です。
細かい部分と思われがちですが、伝え方を変えるだけで、相手の印象が大きく変わる事も確かです。
例えば、残業を頼まれた場合、「契約外なので、出来ません。」と断るのではなく、「現在の契約では出来ないので、担当者と相談させて下さい。」とやる気を見せたり、「今は育児中で保育園のお迎えがあるので、申し訳ないですが残業は出来ません。」と理由を説明する事で、納得して貰える事もあります。
「当然の権利なので‥」という態度では、相手に悪印象を与えてしまう事を、心に止めておきましょう。
具体的な理由を伝える事や、挨拶や会話など、その他の部分でのコミュニケーションを取る事も、働きやすい環境づくりの一歩になるケースも多いのです。
派遣社員の方が時給が高いのは、ナゼ?
アルバイトやパート、契約社員と比較した場合だけでなく、正社員と比較しても、派遣社員の方が給与が高い場合があります。
特に20代の若い間は、正社員でも給与が低い傾向にあるので、同い年であれば「派遣社員の方が稼げてしまう‥」という事も、少なくありません。
なぜ、そのようになっているのか、ご存知ですか?
派遣社員の給与が高いのは、「教育コスト」が掛っていないからです。
日本の企業では、正社員などの直接雇用の社員への教育に、高いコストをかける傾向にあります。20代の間は仕事が出来ない事を前提とし、数年をかけて社会人として一人前になれるよう、育てている訳です。
そのコストが掛る分、若い間の給与は低くなりますが、30代以降には「基礎の部分から教育を受けた社員」として活躍出来るため、給与が上がっていく傾向にあります。これが、年功序列で賃金が上がる理由のひとつです。
その点、派遣社員は、「ひとつの業務に対するスキルを提供する人材」です。
未経験からの募集が可能な場合もありますが、基本的に企業としては「出来る事をやってもらう」という姿勢です。教育コストを掛けずに、部分的な業務をこなしてもらうというスタンスのため、時給などの単価が上がるのです。
派遣社員のままでは、スキルアップ出来ないケースも‥
給与が高いのは嬉しい事ですが、様々な理由から「派遣社員ではスキルアップがしづらい」という問題もあります。
近年では、派遣元の企業が「スキルアップを支援するスクール」や「資格取得の支援サービス」を行っている事も多いので、自ら学ぼうという姿勢があれば、スキルを磨き続けることは可能です。
それでも、研修や教育体制の充実した正社員には、及ばない部分があるのも事実です。
出来る事だけをやっている働き方では、将来的に仕事が見つかりづらくなる可能性も高くなりがちです。
派遣社員という働き方は、自分で能動的にスキルアップ出来る方や、制度やサービスを上手く利用しながら働けるという方にとっては、高い給与を得ながらキャリアアップを目指せる手段ですが、それが出来ない人には、難しい働き方と言えるかもしれません。